1308年
フィレンツェ出身の詩人ダンテ・アリギエーリが、政治的追放の中で約13年をかけて完成させた叙事詩。「地獄篇」「煉獄篇」「天国篇」の三部構成で、計100歌・約14,000行からなる。ダンテ自身が古代ローマの詩人ウェルギリウスに導かれて冥界を旅する物語で、当時の政治家や聖職者への痛烈な批判も含まれている。ラテン語ではなくトスカーナ方言(イタリア語の原型)で書かれたことが画期的であり、イタリア文語の基礎を築いた。ルネサンスの先駆けとなる中世文学の最高傑作。
代表人物:ダンテ・アリギエーリ
1400年
14世紀末のイタリアで始まった文化・芸術・学問の大変革運動。古代ギリシャ・ローマの古典文化を再発見し、人間中心の世界観(ヒューマニズム)を生み出した。フィレンツェのメディチ家をはじめとするパトロンの支援のもと、絵画・彫刻・建築・文学・科学など多くの分野で革新的な発展を遂げた。この運動は15〜16世紀に最盛期を迎え、やがてアルプスを越えてヨーロッパ各地に広がり、近代への扉を開いた。
代表人物:レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ
1450年
ドイツのマインツでヨハネス・グーテンベルクが実用的な活版印刷技術を開発。金属製の活字を組み合わせて印刷する方式により、書物の大量生産が初めて可能になった。最初の大規模な印刷物は通称「グーテンベルク聖書」(42行聖書)で、約180部が制作された。この技術革新により、それまで修道院で手書き写本されていた知識が急速に広まり、ルネサンスの思想普及、宗教改革、科学革命を支える基盤となった。「印刷革命」とも呼ばれ、情報伝達の歴史を根本的に変えた。
代表人物:レオナルド・ダ・ヴィンチ
1490年
レオナルド・ダ・ヴィンチが古代ローマの建築家ウィトルウィウスの著書『建築論』に基づいて描いたペンとインクによるドローイング。円と正方形の中に両手両足を広げた裸体の男性像が描かれ、人体の理想的なプロポーション(黄金比)を数学的・幾何学的に表現している。例えば、身長は両腕を広げた長さに等しく、顔の長さは身長の10分の1であるなど、精密な比率が書き込まれている。芸術と科学、人文学が融合したルネサンス精神の象徴であり、現在もイタリアの1ユーロ硬貨のデザインに使用されている。
1495年
レオナルド・ダ・ヴィンチがミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院の食堂壁面に描いた大作。横約9m・縦約4.5mの巨大な壁画で、イエス・キリストが十二使徒に「この中に裏切り者がいる」と告げた瞬間の劇的な場面を描いている。一点透視図法を完璧に駆使し、画面の消失点がイエスの頭部に集約される構図が見事。各使徒の驚き・怒り・悲しみといった感情が、身振りや表情で生き生きと表現されている。従来のフレスコ技法ではなくテンペラ技法で描かれたため、完成直後から劣化が始まり、数世紀にわたる修復の歴史を持つ。
1503年
レオナルド・ダ・ヴィンチが1503年頃から数年をかけて制作した油彩画。モデルはフィレンツェの商人フランチェスコ・デル・ジョコンドの妻リザ・ゲラルディーニとされる。輪郭線を用いず色彩の微妙なグラデーションで立体感を出す「スフマート技法」の最高傑作であり、見る角度によって変化するように感じられる神秘的な微笑みが特徴。背景には空気遠近法による幻想的な風景が広がる。現在はパリのルーヴル美術館に所蔵され、世界で最も有名な絵画として年間約1,000万人が鑑賞に訪れる。
1512年
教皇ユリウス2世の依頼を受けたミケランジェロが、1508年から約4年の歳月をかけて完成させた壮大なフレスコ画。約500平方メートルの天井に、旧約聖書の「天地創造」から「ノアの洪水」までの物語が9つの場面で描かれている。中でも『アダムの創造』は、神とアダムの指先が触れ合う瞬間を描いた人類史上最も有名なイメージの一つ。ミケランジェロは足場の上で仰向けになりながら描き続け、完成時には視力が著しく低下したと伝えられている。
代表人物:ミケランジェロ